メガネ21

普段書かない内容をちょっと。
恥ずかしがって貧乏のブログという事にしているが、この隠れテーマは「誉めるブログ」なのである。
誉めるまでは至らず、やり方を載せるに留まっても個人的には、「メモしてもう一度使う価値のある誉めるに値する事」を書いている。
なので実際の人物よりは大分毒舌が無いのが特徴だ(笑)

メガネ21の理念

こういったことを書くとつい誰かの悪口を言いたくなるので普段は別のブログで書いて心の内に締まっておくのだが
メガネ21を今日は見ていた。

この会社はカンブリア宮殿という番組で紹介されていた知った。
一から説明するのはめんどくさいので分かる人だけ分かるように書いておく。
といってもそんな人はこのブログ見る前にとっくに知っているだろうけど。

#内部留保しない
#経営陣が居ない
#その分を賞与につぎ込む
#原価率は70%(同業大手は20〜30%?)
#新規出店はその都度社員の出資を募る
#転勤がない
#リストラしない
#繁盛期でも休める(賞与に反映し他社員との差をつける)
#ノルマが無い(店単位のノルマもない)

とこんな感じだったと思う。


「大事」の仕方は人それぞれ

番組内で話していたのは孔子の教えだった。
「自分がされて嫌な事は人にしない」

という言葉。

会社発足の経緯が
「自分がリストラされてどん底を味わったから違う会社を作りたい」
という物だったのも勿論関係している。

良く社員を大事にする会社、というのは耳にする。
ただ、「大事」の仕方は人それぞれ感じ方も価値観も違う。

地球に優しいはずのヤシノミ洗剤も象の住みかを荒らしていたりするが
人によっては「それでも十分他洗剤より優しい」のであるし、
またある人には「値段が安くて汚れがよく落ちる。そんな洗剤が一番優しい」というのもある。


この会社では「人が共通して嫌に感じること」を
社員だけでなく取引先やライバル店にまで視野を広げて考えて形に起こしている。

だから、税務署には2重帳簿や脱税を疑われ、メディア取材では信じてもらえない。


内部留保

今会社を相続させても資本金5000万だから相続税がかからないそうだ。
私の好きな老子の教えにもあるが美味しいものを子孫に残しても為にならない。
ということだ。
内部留保をせず出世しても利潤や権力にありつけない会社では腐敗や汚職、権力闘争、派閥といったものがはびこり難い
すると利益も生みやすいという好循環の維持を目標に掲げ、その為の手段として内部留保をしない形を取っているようだ。

私は孔子は現実的で嫌いあまり好きでないのだが、読んでいない思想を汲めてもいない人よりは何倍もましである。

SBIの北尾社長も孔子が好きなようだが孤児への慈善行為を行っている。
私のように動かぬ善より動く偽善
手元に残り、史実を動かすのは常に動いたものである。


信頼と切っている所

男は肩書き、女は金、
人は性別によりこれを与えれば働く、とサイト内に引用として有ったがこの話から行くとメガネ21は女性的な会社かもしれない。そう言えば授業内容を男女で変える教育が今効率の面から採用され始めている。それなりに成果を上げているというから地味に性差というのは無視できない(私に言わせると性差だけではなく個差に早く目を向けて欲しいのだが・・・。)。性差も立派な哲学のテーマだ。っと哲学は全てがテーマだった。
但し30歳以上の賃金上昇とスキル伸びの停止*1のバランスから
扶養したり、家庭を持ちたい社員に対しては、一般企業のような賃金上昇を望む人は独立を促して社内人件費の抑制を図っているようだ。
要は他企業に比べ、30歳までの人を優遇し、それ以上の人を抑制しているのだろう。このかたちは竹中平蔵氏のWIKIにもある

WIKI転載 アサヒ芸能が出元らしい
正社員と非正社員の区別自体が妥当でない、オランダのように全員を正社員にするべきであると述べた[20]。そのとき正社員個人の所得は低下するが、日本では正社員のほとんどは必要以上の所得を得ている

という話にも載って来る。30歳以上になっても賃金が上がらない職場と聞くと「う〜ん」なるかも知れないが、この会社の場合は

ノルマの無い職場の雰囲気
独立を皆で支援するなど社員の一体感
「技術は盗め」ではなく社内は当然として、社外にも必要ならおすそ分けする精神*2

などで社員同士やお客さんとの間に助け合いの精神が育っているようで、吸収できているようだ。
今日知り合いと話していて「選挙前公約は子育てばっかりで派遣や有期雇用など雇用不安への対策が無さ過ぎる。」
という話題が合ったが、本気で有期雇用を何とかしようと思ったら、正規雇用が握るパイを切り崩すしかない。
労働組合も支持母体にしている民主党には自民党以上に難しい面もあるし、
実の所派遣は今のままで良い。のが良くも悪くも労働者の総意なのである。


実はアメリカ式なのでは?

株式上場しないのは投機で儲かるのは株主だけで、デメリットが大きいから。
アメリカ的投機経営ではなく日本の投資経営で行くと書かれているが、私からするとこの思想はアメリカ的でもあるのだがそれはアメリカを良く言い過ぎだろうか。日本の頭脳がアメリカを始めとした海外へ流出しノーベル賞が少ないのは、能力や可能性への投資が日本には少なすぎるという因もあるはずなのだが。。。


サイトにある「個を大事に伸ばす会社」というのは、個の社会と言われるアメリカの思想文化のほうが近い気がする。
今どうなってるかは知らないが社員第一のサウスウエスト航空何かもそうだが、採用する社員自体はかなり少なく抑えて、その代わり取った社員は他企業よりもしっかり面倒を見る。
そんな「入れた人には天国・落ちた人にはただの目の毒」と言った企業とも近しいものを感じる。

メガネ21がアメリカの思想と異なるのは、社長報酬制限など横並びの精神があること。
公明正大、オープンに法令順守で行いながらその利益を社員に還元する形である。
ストックオプションもどうやらメガネ21では却下されるらしい。
理由は、

1.後から入った安値で株式取得できなかった社員のモチベーション低下、
2.社員の売り抜けによる目先の利益優先の弊害

ぱっと見の話だが理に叶って見える。


企業超えた企業になるのか

一番見えてくるのは、理念(自分がされて嫌な事をしない企業)が先にあり、それを実現させる為にどうしたらいいかを現企業が採用している方法に捕らわれず、自分たちで新たに構築して行った所である。

あえて悪く言えば、今現在はまだまだ新規出店余地が有り「頑張れば独立支援してもらえる」という共通意識を利用して社内を回しているようにも見える。これからその方法が上手く行けば行くほど飽和点が早く来る。その時に同じ理念を持ったまま内部を変えられるかが一つ問われる事になるだろう。
理念を形にして行けば、今度はその形が第一になってしまったりする。
ライバル店へのチラシや商品供与も社長など9人の起業者はメガネ業界への思い入れから実行に移しているが
社内には反対も当然あったようだ。経営の世代が変わっていけば、業界への支援など真っ先に無くなりかねない。
言うなればメガネ21理念が大きすぎて形になりきれていないのだ。
そしてその理念はどん底のリストラを経験したものにしか持てない気がする。
だから助け合いの精神を社員同士が持つようにして代替しているが、順風は何よりも怖い。
上手く行ったことしかない人間は他人への思いやりなど本当に持てるのだろうか。
全社員を一度リストラ経験させる方が理念が受け継がれていく気がする(勝手な想像だけど)。
本当のことを言えば、上手く行ったことしかない人間だけが他人への思いやりを持てるのかも知れないけど。

ただそれを上手く乗り切れば「100年続く企業」を超えて、会社はつぶれても理念は残る企業=企業の枠を超えた企業
として将来のスタンダードな会社の有り方に影響を与えるかもしれない。

ちょっとマイナスっぽいのを書いたが
潰れて欲しくない。長く残って一石を投じ続けて欲しい。
その思うからのおせっかいである。

社員に経営者としての感覚も持ってもらう。その為には株主と労働者が同一人物の中に感覚として共存していなければならない。
そんな私からすると当たり前理想なことを頑張ってかたちにしている企業のようだ。


ああ案の定、小難しく長くなった。こういうテーマは書くのが難しい(苦笑)。
皆さんはどう思いますか?

*1:新卒入社から30才でそれ以上の社員との差がなくなるらしい

*2:他者妨害行為に対する仕入れ価格の値上げでの対抗やチラシのライバル店への供与など